『受けてみたフィンランドの教育』読んでみました2008年06月15日

 最近関心を持っているフィンランドの教育、もっと深く知りたくなって、『受けてみたフィンランドの教育』を読んだ。OECDのPISA(生徒の学習到達度調査)で世界トップクラスと認められたフィンランドの教育、その内側を知るにはもってこいの本であった。

 本書はフィンランドの高校に一年間高校生留学した実川真由さんの体験記と翻訳家(英語)でライターでもある母親・実川元子さんの解説で構成されている。

 実川真由さんはAFS(高校生の国際教育交流を主催している組織)の留学生として、ホームステイしながら、フィンランドの首都ヘルシンキ市内にあるヘルトニエミ中高一貫総合校で一年間を過ごした。真由さんが気付いたフィンランドの教育の特徴はいろいろある。まず、教育は基本的に無料であること(給食や寮費も)、小中学校でも留年する子供が多いこと(多くのフィンランド人は理解しないまま学年だけ上がることよりはきちんと理解できるまで勉強してゆっくり学年が上がっていく方がいいと考えているから、親も教師も留年したからダメな子供というレッテルを貼ることはなく、「この子は読むのが苦手だから」と考えるだけ)、試験はどの学科もほとんどが記述式であること、校則がないこと、塾がないこと(医学部を受験する人向けのサマースクールなどはある)、高校を卒業してもそのまま大学へいく人は少数であること、試験勉強は「暗記」ではなく「読む」ことであったこと(数学を含む多くの学科のテストは記述式であり、知識及び物の考え方が厳しく問われるため、試験前には本を読んで知識を蓄えるしかない)、授業でも物事を論理的に考えることと相手に分かるように説明することを随時求められること、等々。教育を受けやすい国だけれど、教育の場で求められることは簡単ではない。それでも私的にはフィンランドのような勉強の方が断然好きだ。日本でもこういう学校を選べたらどんなにいいだろう。

 本書や元教育相のオッリペッカ・ヘイノネン氏の本を読む中で分かってきたのは…フィンランドの教育重視の政策はいわば小国フィンランドの生き残り策であるということだ。フィンランドは資源の少ないため、国民こそが財産であり、その国民が少ないから、国民全体の資質を底上げする必要があるのである。

 日本とフィンランドでは教育の背景となっている歴史も社会も様々に異なるが、教育政策面でも国民の意識面でも、フィンランドの方が進んでいる部分がたくさんあることは確かであるようだ。また、思考力を鍛えることは、現代の国際情勢に必要な人材育成という観点からも、正しい方向のように思われる。

 ちなみに、著者の実川真由さん、最初は日本の高校との様々な違いに戸惑い、又シャイなフィンランドの国民性もあって友人作りにも苦労したが、本人の努力と何事も学ぼうとする積極性に加え、ホストファミリーや学校の教師の支えもあって、徐々に馴染んでいき、最後には英語のエッセイも飛躍的に進歩し、習得が困難と言われるフィンランド語でプレゼンテーションできるようにもなり、40人もの友人がお別れパーティに集まって別れを惜しんでくれたというから、留学生活はとても有意義なものだったようだ。

 体験記を読んでいる内に、教育のことはおいても、フィンランドが魅力的な人がたくさん住んでいそうでワクワクした。いつかフィンランドに滞在してみたくなった。

読んだ本:実川真由・実川元子『受けてみたフィンランドの教育』

参考:AFS日本協会HP:  http://www.afs.or.jp/jpn_ja/home

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