中華民国の最初の学制、1912年9月「小学校令」と国民教育の方針2008年11月02日

 中華民国の正式の初の学制「学校系統令」は1912年9月3日に公布された。そして各種学校の学校令が頒布された。小学校教育について規定した「小学校令」もその一つである。「小学校令」は「小学校教育は、児童心身の発達に留意し、国民道徳の基礎を培養し、並びに生活に必需の知識技能を授くるを以て教育宗旨となす」と規定している。また、具体的には初等小学校の学費無償の原則、つまり義務教育の考え方を打ち出している。(『民国教育史』103頁によれば『教育雑誌』第4巻第8号1912年11月にその記載があるらしい)

 この国民教育の方針は清朝時代の1902年の「壬寅学制(欽定学堂章程)」、1904年の「癸卯学制(奏定学堂章程)」において、その萌芽が見られるという。癸卯学制の初等小学堂章程には「初等小学は、全国人民を教成する所にして、もとより随時広設すべく、邑に不学の戸なく家に無学の童なからしめて始めて国民教育の実義に背くことなし(下略)」(『日中比較教育史』、73頁-74頁)とある。この国民教育の方針、中華民国になって確立する。その第一声がこの「小学校令」であるといえるだろう。

参考:佐藤尚子・大林正昭 編『日中比較教育史』(春風社、2002)
李華興 主編『民国教育史』(上海教育出版社、1997)

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