中国の愛国教育2012年09月04日

一連の反日行動と愛国教育に大きな関連がある、とマスコミが報じ、19948月の「愛国主義教育実施要項」以来、愛国教育が強化されたとしている。しかし、私はむしろ、内容が強化されたというよりは、整備されたに過ぎないと考えている。

それというのも、中華人民共和国建国以来の情況からみれば…かつては全ての教科が愛国教育に彩られていたのであり…現在の愛国教育が占める比重が大きいわけではなく、内容的に大きな変更があったようにも見えないからである。

中国の教科書を研究してきた立場からいえば、反日的要素に限ってみても、以前の方がずっと苛烈で、かつ直接的だった。建国直後の教科書は日中戦争の直後ということもあり、戦時の反日教材がそのまま使われている例も少なくなかったし、比較的穏便になった80年代の教科書でさえ、日本軍と戦って犠牲になった烈士のエピソードが沢山収録されていた。そうした教材の数はいまの方がずっと少ない。そのような情況にもかかわらず、八十後や九十後の若いネットユーザーの間でも反日感情が吹き出す理由が、何かありそうだ。

コメント

_ 多田 宜文 ― 2012年09月22日 11時01分42秒

 一般の日本人は中国の愛国教育の実態についての知識がまったくありません。
これは、無関心というより、愛国教育に使われている教科書の内容を知る機会が少ないためと思います。私も教科書(日本語)を読みたいと思っていますが、存在するのでしょうか。あれば入手方法を知りたいと思います。
戦前の日本の教科書による軍国主義の宣伝がいかに効果的であったかを思うとき、偏向した教育を受けた中国青年たちの行動が理解できるかもしれません。むろん認められるものではありませんが、知っておくべきものでしょう。

_ ゆうみ→多田 宜文さん ― 2012年09月24日 13時08分23秒

コメントありがとうございます。
現在、中国の愛国教育の教科書は、私が知る限り日本語にはなっていません。
ご希望とは少し違うかも知れませんが、歴史教科書でしたら、日本語になっています。「わかりやすい中国の歴史 (世界の教科書シリーズ)」(人民教育出版社地理社会室,2000年)「中国の歴史 (世界の教科書シリーズ),2004」等です。ご参考になれば幸いです。歴史も中国の愛国教育を担う教科の一つです。
但し、歴史教科書だけでは中国の愛国教育の実態を理解することはできません。実はそこがなかなか厄介なのです。
現在、愛国教育を基本的に担う教科は、別にあり、道徳教育、公衆衛生教育などとセットで行われています。小学校では低学年の「品徳と生活」、中学年以降の「品徳と社会」、初等中学では「思想品徳」、高等中学では「思想政治」という教科がそれにあたります。日本でいえば、かつての道徳のような教科に組み込まれているわけです。更に、語文(国語にあたる)、歴史や地理等にも愛国教育の要素がさりげなく散りばめられ、更に映画や校外学習等で補足することによって、効果的な愛国思想教育が行われています。

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