来年秋の中国の地理教科書は「釣魚島」で修訂!? ― 2012年10月21日
今回の尖閣問題の日中間の紛糾は、中国の地理教育にも影響を及ぼすことになるかもしれない。中国のマスコミ各社は、来年秋の中学二年の地理教科書(人民教育出版社版)の修訂の可能性を伝えている。修訂内容は「釣魚島」、つまり尖閣諸島についてである。
修訂される前に現行の地理教科書における「釣魚島」の記述をおさえておこう。現在でも「釣魚島」に関する記述は地理教科書に存在する。でもそれは、地図に表示され、「祖国の神聖なる領土-台湾省」の単元で二回登場する程度の小さい扱いに過ぎない。授業の内容の重点も完全に台湾にある。
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祖国の神聖なる領土-台湾省
台湾省は台湾島、及び附近の澎湖諸島、釣魚島等の多くの小さな島を含み、総面積約36000平方キロメートル、人口2200万強である。台湾島は我が国最大の島である。北は東海(訳者註:東シナ海)、東は太平洋、南は南海(訳者註:南シナ海)に臨み、西は台湾海峡で福建省と隔てられ向き合っている。
台湾は祖国の神聖にして不可分な領土であり、台湾の人民は我々の血を分けた同胞である。台湾と祖国大陸の統一の実現は、海峡両岸の人民の共通の願いである。
(図6.22 台湾省)
練習
図6.22を見て、台湾省の位置と範囲を理解しましょう。
(1) 台湾島、澎湖列島、釣魚島を探しましょう。
(2) 台湾島周囲の海洋と海峡を探しましょう。
(3) 比例尺を利用して、基隆――福州、高尾――厦門の直線距離を計算してみましょう。
修訂については、記事にも言及されているが、外交にも関わる敏感問題だけに、人民教育出版社としては上の指示を仰ぐことになる。
現在、中国の教科書は検定制になっているとはいえ、かつては国家共通教科書の担い手であり、今でも全国的に圧倒的なシェアを誇る人民教育出版社の修訂が行われれば他に与える影響は大きいはずである。
(このブログ記事の読者より、人民教育出版社が釣魚島に関連する地理教科書修訂を否定した報道についてご教示いただいた。今後の動向を見守りたい。2013年月2月7日改訂)
参考:「初中地理修訂或細化釣魚島内容・明年秋季進課堂」(中国新聞網、2012年9月14日) http://www.chinanews.com/edu/2012/09-14/4182549.shtml
「
人教社否認將細化初中地理教材中關於釣魚島的內容」(鳳凰網、2012年9月14日)
『義務教育課程標準実験教科書 地理』八年級下冊 (2006年10月第3版、人民教育出版社)


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