台湾の歴史教科書の綱要改訂が向かうところ(4)2014年02月19日

さて、次に進む前に、Wikipediaを参照して、台湾の四大新聞『蘋果日報』『自由時報』『聯合報』『中国時報』の政治的傾向について、簡単に補足しておきたい。

ここまで見た『蘋果日報』『自由時報』の読者層は「泛緑連盟」(日本では「グリーン陣営」と呼ばれる)、民進党、台湾団結連盟の支持者が多いとされる。彼らは「台湾の独自性を強調し、台湾人としてのアイデンティティー」を強く求める傾向にある。その政治的主張は現在の中華民国の国家体制を変革して中華民国の「台湾本土化」を達成すること」である。

一方『聯合報』『中国時報』の読者層は「泛藍連盟」(日本では「ブルー陣営」と呼ばれる)、国民党、親民党支持者が多いとされる。彼らは「総じて中華民国にこだわり、中には中国人としてのアイデンティティー中国統一を求める」傾向にある。その政治的主張は、「現状を維持し、統一も独立もせず中国を刺激しないことによって平和に経済を発展させること」である。

こうして見ると、明確に二つに分かれているように見えるが、実はこうした政治的傾向も、流動的である。バックにある企業体の政治的傾向が直接影響する。例えば、『中国時報』はかつて蒋経国政権と1984江南事件(蒋経国に批判的な伝記を執筆した米国籍華人ジャーナリストが殺害された事件)で決裂、民主進歩党が政権を獲得すると名誉毀損で陳水扁に告訴されそうになるなど、時の政府としばしば衝突する新聞だった。でも、馬政権になって以降、そして特に2008年に食品大手・旺旺集団を率いる蔡衍明がオーナーとなり、翌2009年正式に統合発足した「旺旺中時集団」の傘下に入って以降は中国寄りの論調が増えたと指摘されている。一方、『蘋果日報』は、香港の『蘋果日報』と同じく反中国の論調で知られるが、数年前に『中国時報』を買収した「旺旺中時集団」の傘下に入るという話しがあった。その時は同紙の中国化を警戒した民衆により反対デモが行われ、買収話が無くなったらしい。

今回の綱要「微調整」は果たして覆されるのだろうか。事態の推移に注目したい。

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