台湾の地図で学ぶ地理の基礎知識-義務教育課程標準実験教科書『地理』 ― 2011年12月13日
思想教育とはこういうものも指すのだろうか。いまの中国の中学生は台湾の地図で基礎知識を学んでいるようだ。義務教育課程標準実験教科書『地理』七年級上冊、を見ていて偶然見つけた。
この教科書、第一章「地球と地図」第三節「地図」の第一項「地図の基本要素」に見える地図、なんと台湾の衛星写真と台湾島の地図である。説明文はただ地図とは何かを説明する内容で「台湾」の文字はない。七年級というのは日本なら中学校一年生にあたる。恐らく地理のはじめの授業で見る地図、印象は深いはずだ。中国なら中国地図が載るのが普通だろう。それをわざわざ台湾の地図にしている。
今の中国の教科書は以前ほど思想教育的には見えない。かつては沢山載っていた政治家や烈士の逸話は目に見えて減った。でも、いろいろなところに、さりげなく潜んでいるものを見つけるたびに、本質的には変わっていないことに気づかされる。 参考:義務教育課程標準実験教科書『地理』七年級上冊(2001年第一版、人民教育出版社)

言語を超えた世代の台湾詩人・錦連さん ― 2010年12月08日
台湾の詩人・錦連さんより全集が届いた。中国語の詩が4冊、日本語の詩が4冊、翻訳が2冊、小説が1冊、散文(1949年の日記も)が1冊、資料が1冊の合計13冊である。
全集に収められた詩の内、日本語の創作が半分を占め、翻訳もあるのは、錦連さんが台湾で「言語を超えた世代」に属する詩人だからである。1928年12月に日本統治下の台湾で生まれた錦連さんにとって、日本語は中国語よりも先に獲得した創作言語であり、中国語は戦後に苦労して習得した創作言語であった。
錦連さんは戦前戦後にかけて台湾中部で活動していた銀鈴会の同人で、中国語一色となった戦後の台湾文壇においても言語の壁を克服し中国語で作品を発表していた笠詩社の発起人のおひとりでもある。同世代の詩人と比べ少し異色なのは、台湾の彰化駅の電信室に長年お勤めだったことだ。
二つの言語の狭間で、繊細な感受性と鋭い観察力で綴られた詩、日記、雑文…全集には、錦連さんの半世紀以上の歴史と心がぎっしり詰まっている。この機会に丁寧に時間をかけて読んでみたいと思う。
水野直樹・藤永壮・駒込武 編『日本の植民地支配――肯定・賛美論を検証する』を読む ― 2009年11月25日
質問は、例えば「近代的な教育の普及は日本の植民地支配の[功績]なのか?」「植民地支配は近代的な医療・衛生の発展に寄与したのか?」「植民地の工業化・インフラ整備は民衆生活を向上させたのか?」他にも朝鮮「併合」問題、慰安婦問題、朝鮮人と台湾人の志願兵問題、植民地支配に対する賠償・補償問題など、いずれも複雑な経緯や事情が絡んでいる微妙な問題である。
これを第一線の歴史研究者が、歴史的事実を丁寧に積みあげて検証することで、日本統治時代を美化する見方の誤りを指摘する内容になっている。ただ、ブックレットだけに紙幅に限りがありすぎる。一つ一つの問題が、一冊のブックレット、あるいはそれ以上になる内容である。それをほんの2-3頁にまとめるのは、苦労したに違いない。これは模範回答集であって、より詳細な事実関係を理解してこそ価値がある。そのためにも、巻末掲載の引用・参考文献を参考にしたほうがいいだろう。
ちなみにこのブックレットは図書館で借りたのだが、購入しようと調べたら、書店にも発行元にもなく、アマゾンに古本は出ていたが希少品扱いであった。
読んだ本:水野直樹・藤永壮・駒込武 編『日本の植民地支配――肯定・賛美論を検証する』 (岩波ブックレット、岩波書店、2001)
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まど・みちお詩集『宇宙のうた』と詹冰さんの思い出 ― 2009年03月03日
私が、まど・みちおさんの詩集『宇宙のうた』を手に取ったのも、台湾がらみである。数年前の3月、台湾の著名な詩人のお一人である詹冰さんのご自宅に論文のためにインタビューへ訪れたとき、持参したのがこの本だった。詹冰さんにまど・みちおの詩集『宇宙のうた』を買ってきて欲しいと頼まれたのである。それがこの詩集と出会うきっかけだった。まど・みちおさんの詩集『宇宙のうた』には好きな詩が幾つもあるが、中でも「太陽と地球」は小さな物語のようで初め読んだときから印象的だった。こんな詩である。
「太陽と地球」 まど・みちお
まだ 若かったころのころ
太陽は 気がつきました
わが子 地球について
ひとるだけ どうしても
知ることができないことが あるのを…
それは 地球の夜です
地球の夜に
どうぞ安らかな眠りがありますように
どうぞ幸せな夢があふれますように
祈りをこめて 太陽は
地球の そばに
月を つかわしました
地球の夜を 見まもらせるために
美しくやさしい 光をあたえて
今ではもう
若いとも いえませんが
太陽は 忘れたことがありません
地球の 寝顔が
どんなに 安らかであるかを
夜どおし 月に 聞くことを…
思えば、まど・みちおさんが日本統治下の台湾で青春時代を過ごし、詩人としてのスタートを切ったと知っていたら、詹冰さんとの関わりなども聞けたのに残念である。もっとも、当時の私の目的は、台湾戦後初期の文学グループ・銀鈴会の元同人の一人としての詹冰さんへのインタビューだったし、それなりに精一杯だった。また、詹冰さんも手術後退院したばかりで、体調も優れない様子で早めに切り上げたので、ゆっくり雑談を交わす余裕などなかったかもしれないのだが。
いまでも覚えているのは、体調が万全でないにも関わらず、わざわざ日本から来たから、といろいろと質問に答えてくださり、自ら著書にサインをしてお贈り下さったり、お気遣いいただいたことだ。無理をさせてしまったのではないかと気になっていたが、しばらくして逝去されたことを、後で知った。春になると、詹冰さんを思い出す。最後に詹冰さんが詩人として第一歩を踏み出した記念の詩「五月」を載せておく。
「五月」 詹氷
五月。
透明な血管の中を、
緑色の血球が泳いでいる。
五月はそんな生物(いきもの)だ。
五月は裸体(はだか)で歩む。
丘に、産毛で呼吸する。
野に、光で歌ふ。
そして、五月は眠らずに歩み続ける。
(一九四三年五月一日、於 東京)
詹冰さんは日本文壇で認められた初めての台湾人詩人である。「五月」は詹冰さんが日本の明治薬専に留学しているときに『若草』に投稿し、堀口大学の選で掲載された最初の作品。評は「詹冰の[五月]は、素直で感覚が直截だ。そして言はんと欲するところを存分現はし得ている」というものだった。
読んだ本:まど・みちお詩集⑥『宇宙のうた』(かど創房、1975年初版・1997年9版)
華流DVD「貧窮貴公子」&本作り&お皿洗いブーム ― 2008年12月01日
最近華流づいているので…日曜日はDVDで「貧窮貴公子(山田太郎ものがたり)」を鑑賞。F4の周渝民(ヴィック・チョウ)が山田太郎役、朱孝天(ケン・チュウ)が父親役で出演していたので、娘も大喜び。二人で見ました。バレンタインではなく七夕(旧暦)にチョコレートをプレゼントするところなど、微妙に台湾風なのが面白いです。F4の歌「流星雨」も一緒に歌っています。まだ歌詞を全部覚えてはいないものの、「温柔的星空,應該讓?感動…」ときれいな発音で歌っているのには感心してしまいます。子どもの音感というのはすごいですね。
それから、娘のマイブームは本作り。週末も一冊「プリンセスシリーズ ベルのけっこんしき」なる本を作っていました。ベルはディズニー映画「美女と野獣」の主人公ですが、これには結婚式の場面はありません。娘なりに想像して、台詞を考えて文を書き、挿絵を描いているのです。冒頭はこんなふうに始まります。「あるとき、ベルがけっこんをするときがおとずれました…」8頁の本ですけれど、書き終えると、私にも読むように勧め、読んでいる間とても嬉しそうにしていました。
週末限定かも知れませんが、ちょっとブームだったのが、なんとお皿洗い。新しいスポンジを渡したら、毎食後の食器洗いを「やりたい」と言って積極的にやってきます。歌を口ずさみながら、一緒に洗うのが楽しいらしいです。手が荒れると困るのでビニール手袋をあげたら、これも大喜び。子どもには食器洗いも楽しいのですね。楽しく続けてくれたらいいな~と思っています。
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台湾・陳水扁前総統の逮捕に思う ― 2008年11月16日
アメリカは大統領選挙が終わったばかりで、政権移行中であり、当分手も口も出すことが出来ないという国際情勢がまず気になる。また、逮捕の時に警官が殴ったというのも普通とは思えない。何と言っても前総統なのだ。逮捕されるにしても、それなりの敬意が払われて当然だろう。
陳水扁氏は12日から拘置所で10の理由を挙げてハンストを継続中、昨日は胃液を嘔吐、すでに5日目に入った。一方、馬英九総統は14日にふと思い立って総統府のそばの国防部の大食堂を訪れ、自らの兵役時代のことを語りながら、食事を楽しみ、同じテーブルを囲んだ兵士達にご飯やおかずをよそったりしたことがニュースになっていた。台湾では一体今何が起こっているのだろうか。そしてなんといっても気にかかるのは台湾の民主の行方である。
参考:「陳水扁前総統を拘束、診察で逮捕手続き中断…台湾最高検」(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081111-OYT1T00609.htm
「前総統逮捕 台湾民主政治の大きな汚点」(11月14日付・読売社説)http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081113-OYT1T00841.htm?from=nwla
以下は中国語(台湾・繁体字)の記事
「扁珍最後的反撲」(聯合報・社論) http://udn.com/NEWS/OPINION/OPI1/4603018.shtml
「阿扁拒服藥 未達強制送醫」(自由時報) http://iservice.libertytimes.com.tw/liveNews/news.php?no=150162&type=%E6%94%BF%E6%B2%BB
「【起來?,撩落去】 扁發表十點禁食理由」 http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/081114/2/19fhk.html
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