残暑お見舞い&近況報告 ― 2010年08月21日
残暑お見舞い申し上げます。
暑い日が続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか。
ブログをしばらくお休みしていました。ご心配をかけていたら申し訳ないです。お休みしていた理由は病気ではなく、娘が夏休みだから、です。一人っ子なので、私が相手をする場合が多いのです。隙間の時間は、9月の講演のために、沢山の本や論文を読み、ネットサーフィンをしていろいろ調べたり、資料を作ったりしています。一度に一つのことしかできない私は、娘の相手と他のことをなかなか一緒にできないのです。沢山のお仕事を要領よくこなす方法を学んだ方がよさそうです。子育ても研究も本当に少しずつ積み上げて発展させていくという部分は共通していますね。
夏休み後半はお楽しみが幾つかありました。その一つが先日久しぶりに出かけた劇団四季『ウィキッド』。オズの魔法使いに登場する魔女の物語です。友達姉妹と娘の三人で劇場へ入り観劇しました。私達は入り口で見送り、スタッフの方に託しました。四季劇場のスタッフの方が大変親切でありがたかったです。ちいさなトラブルはあったのですが、子供の安全と気持ちを考えて対処してくださり、本当に助かりました。ミュージカル、とても楽しめたようです。子供達にとっては小さい冒険だったと思います。この日は特別企画で子供向けに無料で「魔法の作り方教室」(バックステージツアー)が行われ、照明や音響、舞台装置について、監督さん自ら教えてくださいました。帰宅後、オズの魔法使いの映画を見直し、パンフレットを隅から隅まで読んでいました。
他には、一緒にお茶のお稽古にも2回ほど出かけました。私は最も基本になる盆略点前、娘はお茶をいただく練習をしました。娘は、私よりも覚えが良く、お点前の順番や帛紗さばきも覚えて、お点前を自分でもやりたそうにしています。今までは日本のお茶文化には興味はあっても敷居が高いような気がしていたのですが、始めてみると親しみが感じられてきました。利休百首の第一首目に「その道に入らんと思う心こそ我身ながらの師匠なりけれ」という歌があります。意味は「何事でもその道に入りそれを学ぶにはまず志を立てねばならない。自発的に習ってみようという気持ちがあれば、その人自身の心の中にもうすでに立派な師匠ができている」そうです。はじめてみようと思う心、お茶に限らず、他の道でも大切なことですよね。
残暑というより、真夏の暑さが続いていますが、どうぞお体に気をつけてお過ごしくださいませ。
お金がかかる中国の幼児園 ― 2010年08月25日
近年の中国教育において最も変動が大きく、そして混乱しているのは就学前教育であろう。ちなみに、中国では幼稚園を「幼児園」という。かつては衛生部門が管轄する託児所が0-3歳までの子供を保育、教育部門が管轄する幼児園が3-6歳までの子供を保育・教育するという制度であったから、本当のところ、中国の「幼児園」は日本の保育所と幼稚園の両方の意味を含んでいる。(近年は託児所と幼児園が相互に吸収合併して託児所と幼児園が一体化する傾向もみられる)
1990年半ばからの市場経済への転換とともに、様々なニーズが生まれ、就学前教育は多様化、多元化している。法制上の整備も追いついていない。幼児園には「公立園」、「民営公助園」と「私立園」があり、更に黒園(無認可園)の四種類がある。公立園の「不足化」、私立園の「両極化」、費用の「貴族化」、教育資源の「特権化」…中国の幼児園は現在多くの問題を抱えている。総体的に供給が需要に追いついていないため、公立園の入園難と費用の高さは、中国の幼い子供を持つ親(特に経済的に恵まれている場合を除けば)にとっては頭痛の種となっている。
「小中学校、高校、大学には通わせることができても、幼稚園は高くて通わせられない」という情況が本当に生じている。なにしろ、国公立大学は学費と寮費を併せても一年で10000元(12万5千円)前後だが、幼児園は公立園でも国公立大学並みの費用がかかる。有名公立園の入園時に払う賛助金はなんと6万元…だったりするのだから。
現在、幼児園は市場化の過渡期にある。今のところ、寄付金を含む費用の徴収は園経営者の判断に任せられているが、就園費用や賛助費(寄付金)の高騰化は歯止めが利かない状態であり、すでに社会問題となっている。おそらく近い将来、就園費用や賛助費は、小学校等がそうであるように、教育部・教育局に管理されるようになるだろう。
参考:数々の論文や本、ブログをみて調べました。資料を整理してから載せますね。
中国幼児園におけるモンテッソーリ教育のひろがり ― 2010年08月29日
中国の幼児園事情を調べていて驚いたのは、モンテッソーリ教育の広がりぶりである。モンテッソーリ教育は中国語では略して「蒙氏教育」と呼ばれる。実は20世紀初めには、『モンテッソーリ教育法』が翻訳されて中国に紹介されていた。1914年には江蘇省でモンテッソーリ教育法研究会が設立され、1923年には国立北平女子師範大学附属蒙養園でモンテッソーリクラスを2クラス設立しているし、都市部の私立幼稚園でも多く取り入れられて人気を博していた。
但し、1930年代になると日中戦争による国内の混乱で衰退する。特に中華人民共和国建国後、モンテッソーリ教育は長らく歪曲批判されてきた。これが1985年に師範大学の盧教授編著の『モンテッソーリの幼児教育』という本を出版、更に1990年-1993年に人民教育出版社がモンテッソーリの4冊を出版(外国教育各家名著叢書)したことから批判がおさまったのである。1994年には北京師範大学が台湾のモンテッソーリ教育基金会の協力でモンテッソーリ教育研究とモンテッソーリ教師育成を開始、大学においても客観的なモンテッソーリ教育法の紹介がなされるようになり、1996年春にはモンテッソーリ教育の教具生産にこぎつけ、北京市内の幾つかの幼児園でモンテッソーリ教育の実験研究が開始された。実に60年もの空白を経て、中国でモンテッソーリ教育は公によみがえったことになる。但し、建国後の北京で最初のモンテッソーリ幼児園は1992年に国際貿易センターで開園した北京巧智博仁幼児園であるらしい。
今では多くの公立園、民営公助園、貴族園がモンテッソーリ教育実施をうたっている。各地の師範大学がモンテッソーリ教育の教師育成プログラムを組み、三ヶ月ほどの集中教育を行っている。モンテッソーリ教育はモンテッソーリ教師の資格と十分な経験を持つ教諭と子供の発達段階に合わせた教具、子供が落ち着いてお仕事をする空間他の教学環境を整えることが重要であり、実施には費用も手間もかかるので、教育局もモンテッソーリクラスの設置にあたっては保育教育費を一般保育とは別にすることを認めている。
もっとも、実際はモンテッソーリ教育実施園を標榜しても、教師もモンテッソーリ教育の本当のところはよく分かっていないまま、英才教育の一種として、あるいは園の収入増加策の一貫として導入している場合が多いようである。
参考:中国蒙氏教育現状(北京師範大学教育培訓中心)http://www.bnuedu.com/Item/883.aspx
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