二種類の愛国「暴力“礙”国」と「理性愛国」 ― 2012年10月11日
中国の最高国家行政機関である国務院直属の通信社、新華網が配信した記事に載っていた漫画を紹介しよう。ここには二種類の愛国の姿「暴力“礙”国」と「理性愛国」が描かれている。
まず、赤い方のタイトルは「暴力“礙”国」、暴力が国にとって害であるという意味を込めて、「愛」と同じ音の「礙」を使っている。イラストの文字は「礙」の簡体字であり、「妨げる、邪魔になる」の意味である。イラストを見ると、凶悪な表情の牙と角を生やした人々が目に入る。一コマ目は日本食レストランを破壊したり食い逃げしたりしている人達、二コマ目が中国にいる日本人を追いかけて暴力を振るっている人達、三つ目は日本車に乗った中国人を襲って車を壊している人達、四コマ目は日本製品を買わないようスーパー入り口で見張っている人達、五コマ目は日系店舗への略奪放火行為、六コマ目はウェブ上で流言やデマをまき散らす人が描かれている。かなり怖いイラストである。

次に青い方のタイトルは「理性愛国」、理性的に国を愛そう、である。一コマ目は国旗付きの建物(現政府のことだろう)を大切に掲げて政府の外交活動を擁護せよと述べ、二コマ目は法律書のイラストで法律を守って同胞の財産を尊重せよと示唆し、そして三コマ目はより広く同胞が団結し愛国の情熱を正しく表現し、国家の主権を護り領土の保全に務めよう、とあり横断幕を掲げてマナー良くデモ行進する様子を描き、四コマ目は果樹に水をあげる様子を描いて国家が豊かになるよう本職に勤しめと述べ、五コマ目は国産品の質を向上させて日本製品を凌げとグラフが描かれ、最後の六コマ目で「公民ならば法を守るべきなのに、それもせずに同胞の財産にまで手を出すとは何事だ。愛国を汚すな。」と結ばれている。

青い方は一見良さそうに見えるが、ほとんど人の顔が見えない。三コマ目にはデモ行進をしている人達がいるが、表情がなく、上の赤のこわーい顔とは対称的である。愛国を口実に自分達の欲求を全開にしている赤い人達、これは論外にしても、大人しい青い人達も不自然だ。「愛国」の「愛」は元来コントロールが効きにくい、激しく、爆発しやすい感情である。
今回、尖閣問題の反日デモで、日本食の飲食店を破壊したり食い逃げしたり、略奪行為を働いたり、放火したりした人達は、いわば愛国を自分の欲望の達成に利用した人達だった。不法行為は論外としても、愛国を利用する風潮は社会に溢れている。他にも日本車が破壊された事件を受けた車の買い換え、日本製品を国産品や他国の製品に買い換えの顧客を見込んで「愛国割引」なるものが登場したのも、いわば愛国を商売に利用していると言えるだろう。
オリンピックで金メダルを、ノーベル賞を同国人が獲ったときにわき上がる感情、あれが愛国心なら悪くない。でも、愛国は一歩間違えば害になり、毒になる。それを忘れないようにしよう。
コメント
_ 筧武雄 ― 2012年10月13日 15時18分39秒
_ ゆうみ→筧武雄さん ― 2012年10月13日 21時18分58秒
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要は、反日を叫び日本を憎む人たちは、本当の日本を知らないだけで、ぜひ日本に来てもらって実体験してもらうことこそが最善の解決策だと...昔から思ってます。
その結果、それでもやはり日本はイヤだ、日本人は憎いとなれば、それはもう仕方の無いことでしょうね。