近代日本・中国における女子の体操教育2008年05月07日

 纏足、家に閉じこもる生活…は何世代にもわたり中国女性の健康を蝕んできた。近代、女子の体質改善のための教育が注目され、女子小学堂は初期から学習内容に体操科が組み込まれる。このとき使用された教科書は、中国より一足先に欧米の教育を取り入れた日本の教科書からの翻訳が多かったようである。

 資料集にある『高等小学遊戯法教科書』は運動の方法や着衣の説明、衛生等留意すべき事などを総論で紹介した後、数多くの身体を動かすゲームの類を紹介している。これは日本の山本武『新案遊戯法』(全115頁、出版者・松村九兵衛、明治30年出版)の翻訳(翻訳者は無錫 丁錦)で、光緒29年(1903年)に初版が文明書局より出された教科書である。

 日本で出版された原書をみると、女性の健康に関わる部分が「緒言」にある。

 「本書遊戯中女子ニ適スルモノ亦多シ。本邦女子ノ孱弱(センジャク=痩せて弱々しいこと)ナルコトハ身体ノ育成ニ於テ足ラザル所アルニ由ルナリ。西哲言アリ女子ノ健康ハ国家ノ健康ナリト。他日人ノ母トナルニ此ノ人ヲシテ健康ナル児ヲ挙アゲシメン。」

 という内容である。当時の中国で読まれても恐らく違和感がなかったと思われる。日本女性もまた当時は虚弱であり、同じ問題を中国も抱えていたのである。もっとも、中国の場合は纏足もあったから、事態はより深刻であった。そして更に、国家の健康の為に、女性の健康が望まれる、という論法も日本と中国で共通していたことを発見するのである。

参考:山本武『新案遊戯法』は、国会図書館近代デジタルライブラリーの以下のURLで画像を見ることが出来ます。http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40075759&VOL_NUM=00000&KOMA=1&ITYPE=0