中国の小学校で古詩を勉強するようになったわけ2008年06月23日

 中国の小学生が古詩(漢詩)を学び暗唱するように義務づけられたのは、実は2000年の教学大綱からである。中華人民共和国建国以来、大衆教育の観点から、中国の小学校段階の語文教科書には文言文は載せないのが長年の常識であった。

 小学生からの古詩文教育については、早くは中共中央1981年(37)号文件で「小学校から学生に文言文を少々学ばせる」と言及しているが、現実にはその後約20年間ほぼ進展はなかった。だから、2000年の教学大綱以前には全国的シェアを誇る人民教育出版社の教科書に、古詩も古文も採録されていない。もっとも上海の教科書は例外で、手元の高学年の教科書(『語文』H版六年級第一学期、上海教育出版社、1994年)には14首の漢詩が載っているが、これは実験的なものであって、特に暗記が義務づけられていたわけではなかった。

 方針転換は1990年代後半である。1997年に立ち上げられたプロジェクト「中華古詩文経典誦読工程」、1999年2月の江沢民発言「古詩文を少々勉強すれば、情操を陶冶し、教養を深め、思想を豊かにするのに役に立つ…」(中国唐宋名篇音楽朗誦会における発言)をはじめとする一連の動きがあり、小学校段階における古詩学習と中学校段階における文言文教育強化が既定路線となった。そして、2000年の教学大綱には「附録」として暗記を推奨する教材が具体的に示され、小学校では古詩80首、中学校では文言文20篇と古詩50首の暗記が義務づけられたのである。

 その後、2006年、「語文課程標凖」が施行された。素質教育の流れに沿った内容に変更され、教育現場の裁量の幅も大きくなったが、この「課程標凖」、「古今優秀詩文」を、1-6年生の間に160篇、7-9年生(中学生1-3年生)の間に80篇を暗記することを要求している。附録には小学生向けに70篇の古詩、中学生向けに50篇の古詩文を暗唱する教材として載せており、その他について教科書編集者や現場の教師の裁量の余地を認めている。2006年の北京師範大学版を見る限りでは古詩文が全体に占める量は明らかに増えているが、地方版では古詩の割合を減らしているかもしれない。

 いずれにせよ…教育改革のいつも一足先を行っている上海の小学校の語文教科書は、古詩のみでなく古文も載せている。中国の古詩文教育は、負担は増加の傾向にあると言えそうだ。

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