台湾の歴史教科書の綱要改訂が向かうところ(2) ― 2014年02月08日
台湾のメディアではこのたびの歴史教科書の綱要(普通高級中学国文と社会領域課程綱要)の改訂をどのように報道しているのだろうか。台湾の四大新聞の記事をネットで探してみた。各新聞の色が如実に顕れている。まずはGoogleで検索をかけたとき、最初にヒットした蘋果日報から。
蘋果日報(アップルデイリー)の1月29日付の記事「黨國幽靈仍在宰制台灣」(陳翠蓮)はなかなか鋭い。タイトルを訳すと、「党国体制[i]のゴーストが今も台湾をコントロールしている」という感じだろうか?台湾大学歴史系教授・陳翠蓮はこの記事の冒頭で「旧正月直前に教育部がコソコソ、せっせと歴史教科書を改訂した」と批判し、改訂の責任者の専門家5名についても、専門が中国哲学2名、儒学1名や地理1名、経済1名と、台湾史どころか歴史学者さえ一人もいなかったと看破している。また台湾大学歴史系教授・周婉窈氏が検証した結果も載せており、「微調整」(原文=微調)が台湾史については大幅変更であったという事実をデータで示している。そのデータによれば、綱要中、台湾史課が占める字数2013文字中734文字、比率でいえば36.4%が書き換えられたという。中国史課は3728文字中114文字、比率でいえば3%しか書き換えられなかったのと比べるとその差は明らかである。(つづく)
[i][i] ※党国体制 「中国国民党一党独裁下の中国(1928年~1949年)と台湾(1945年~1996年)において、中国国民党のポストと中華民国政府のポストが完全に重なり合う政治体制を指した語」(Wikipedia)
最近のコメント