農村における教科書無償制度始動2008年05月01日

 2006年に改正された義務教育法では義務教育の無償の原則がうたわれている。1986年の旧法でも同じであったが、附則で雑費徴収を認めてしまった為に有名無実になってしまった苦い過去がある。過去の教訓を踏まえ、今回は義務教育無償化が段階的に進められている。

 その一段階として2007年秋より全国の農村における義務教育段階の教科書が完全無償化された。発表されたのが2008年に入ってからだったので、該当者には教科書代を返還したそうだ。ちなみに教育部によれば、農村の小学生一人あたり毎年90元、中学生一人あたり毎年180元が、無償教科書費用補助の目安となっているという。今は1元が日本円15円くらいなので、小学生一人につき千円、中学生一人につき二千円の補助金、と聞けばたいしたことはなさそうだが、なにしろ、中国は人口が半端ではないから費用は莫大である。中国教育部の統計によれば、2007年10月の義務教育段階の小学生総数は107,115,346名であり、そのうち農村の小学生数は66,761,432名、中学生(初中)総数が59,579,491名であり、そのうち農村の中学生数は25,758,332名である。小学生だけで日本の国民の数ほどもいるのである。農村の小中学生全部に無償教科書を供与することは簡単ではない。都市や縣鎮(町や村)はこれには含まれていないので、今後の動きが注目される。

 なお一部の教科の無償教科書ついては「循環使用制度」が導入された。「循環使用制度」というのは、要するに、繰り返し使うこと、「一部の教科」に選ばれたのは、小学校は「科学」「音楽」「美術」or「芸術」、「信息技術」、中学校は「音楽」「美術」or「芸術」、「信息技術」、「体育と健康」である。