中華人民共和国、宗教教育と民族教育2010年07月19日

中華人民共和国の宗教政策は建国時にほぼ固められたため、当時の社会状況と指導者の影響が強い。宗教は今も中国共産党の統制下にあり、未成年者への宗教教育は認められていない。

近年儒教が再評価され、小学校の教科書には論語等経典の一節や、他にも儒教的価値観の逸話(例えば、「孔融、梨を譲る」孔子20世の孫・孔融が幼いとき大きい梨を兄に譲った故事)が教材として取り入れられているが、古典教育、道徳教育としての意味合いでの導入である。

一方、宗教教育は行われていないが、「チベット族学校」「朝鮮族学校」「回民学校」(「回民」とはイスラム教徒を指す言葉であるが、回民学校では食事については配慮されているものの、宗教教育は行われていない)等の民族学校はある。これらの民族学校の特徴は二つ、一つ目は教授用語が民族語であること、二つ目は民族語の授業があることである。民族学校の教育課程は教育部が公布した「9年制義務教育課程標準」に基づき自治区の教育委員会が公布した(例えば朝鮮族なら延辺教育委員会が「朝鮮族小・中学校教育課程」を公布)課程標準に基づいている。


参考:尹貞姫中国における「国民教育」と「少数民族教育」の相克―中国朝鮮族学校における教育課程に着目して―」 http://www.gsid.nagoya-u.ac.jp/bpub/research/public/forum/30/10.pdf


関口泰由「中国共産党政権下における宗教 -宗教政策を中心として-」 http://atlantic2.gssc.nihon-u.ac.jp/kiyou/pdf05/5-68-78-sekiguchi.pdf