日本の学制に範を取った「欽定学堂章程(壬寅学制)」2008年02月11日

週末は風邪で寝込んでしまいました(@_@)毎日続けるのはなかなか大変ですね~。今日は中国最初の近代教育を導入した学制が、実は日本とふかーい関係にあることを書こうと思います。

 中国で初めての近代教育を導入した学制は、1902年公布の「欽定学堂章程」で通称は「壬寅学制」である。管学大臣の張百煕は中国最初の学制「壬寅学制」を起草するにあたり、12名の考察団を欧米の教育システムをいち早く導入した日本に派遣して教育の視察を行っている。そのため、中国初めての学制「欽定学堂章程」は日本の学制と学校制度を全面的に模倣した内容となった。

 初等教育を例に両者を比べてみよう。「欽定学堂章程」は教育段階に合わせて、「京師大学堂章程」「大学堂考選入学章程」「高等学堂章程」「中学堂章程」「小学堂章程」「蒙学堂章程」に分かれている。この内、初等教育について定めているのは「蒙学堂章程」「小学堂章程」である。 蒙学堂4年、小学堂は尋常と高等の二段階に分けて、小学堂3年、高等小学堂3年、合計10年を修業年限とし、中でも蒙学堂と尋常小学堂の6歳から13歳までの7年間を義務教育と定めている。学習課目は、蒙学堂では「修身、字課、習字、読経、史学、輿地、算学、体操」、尋常小学堂では「修身、読経、作文、習字、史学、輿地、算学、体操」である。(「輿地」は「大地、地球、全世界」を意味する言葉で、地理にあたる教科)

 一方、日本で1881年公布された「小学校教則綱領」では、小学校は初等、中等、高等の三段階になっているが、義務教育の始まりは1886年施行された「小学校令」である。ちなみに「小学校令」では小学校を尋常と高等に分け、6歳から14歳までの8年間を義務教育と定めている。「小学校教則綱領」の学習課目は小学初等科では「修身、読書、修辞、算術の初歩、唱歌、体育」小学中等科では「修身、読書、習字、算術の初歩、唱歌、体操、地理、歴史、図画、博物、物理の初歩」(女子生徒には裁縫も)である。以上のように、学制も学習課目も若干の違いはあるものの、「蒙学堂章程」「小学堂章程」は、日本の「小学校教則綱領」「小学校令」に細部にわたり非常に似通っている。

 但し、この「欽定学堂章程(壬寅学制)」、公布はされたが、は1903年11月に廃止され、施行されなかった。