文化大革命期の教科書の内容と初等教育の普及2008年02月26日

 文化大革命の10年間における、教育界の混乱は重大であった。66年から大学の学生募集が行われなくなったこと(70年9月に推薦入試で募集再開)、73年には張鉄生という農村に下放された青年が「文化試験」に白紙答案を提出した張鉄生事件などが混乱に拍車をかけた。

 一方で政治教育の必要性から、初等教育が全国隅々まで行き渡った時期でもあった。辺鄙な農村へ下放された知識青年が教育の担い手となった。『中国教育成就―統計資料1949-1983』の「各レベル各種の学校の学生数」の統計をみると、文化大革命期はそれ以前と比べて、小学校及び中学校の生徒数の増加が著しい。

 当時の「語文」教科書は、毛沢東の文章と詞、魯迅の雑文と小説、毛沢東の発言に関係ある故事成語、批判教材、様板戯(革命現代劇・模範劇)、浩然などの文革小説で構成されている。50年代の教科書との共通性はあまりない。毛沢東の言葉は特にゴシック体で強調して印刷されている。「語文」に限らず、全ての教科が毛沢東と共産党、革命に関係する内容に編集された。教育と政治が一体化したのである。