義務教育普及の為の国家プロジェクト2008年03月09日

 「両基」(「九年義務教育を基本的に普及し、青壮年の文盲を基本的に一掃する」ことを表す略語)達成のためには、中西部地区の貧困、西部地区の過疎に立ち向かわなくてはならない。そこで、この地域の貧困県を対象に、義務教育普及と教育環境整備のための大型プロジェクト、貧困や過疎対策に目的を特化したプロジェクトが次々に立ち上げられ、大規模な国家・地方予算が投じられた。

 例えば「国家貧困地区義務教育工程」である。第一期は1995-2000年に中央から39億元、地方から87億元、合計126億元が投じられ、852貧困県を対象に「両基」基準達成を目指し、並びに危険校舎の解体と新築(3842カ所)か増改築(28478カ所)、及び新しい学習机と椅子653万セット、教材機器40万セット・図書資料1億余冊を補充、教師と校長の再教育による教学レベル向上を目指した。第二期は2001-2005年の計画で、第一期に達成できなかった522県を対象に中央から50億元、地方から23.6億元、合計73.6億元が投じられ、引き続き「両基」基準達成を目指し、危険校舎対策(新校舎4062カ所、増改築6601カ所)、学習環境の整備(新しい学習机と椅子205万セット、教材機器が1.6万セット、図書資料が2300万冊を補充)、及び教師の再教育に力を入れた。更に、第二期では、貧困家庭の110万人の小中学生に無償教科書を提供し、農村の小学校14770カ所と中学校4940カ所に情報技術設備と遠隔教育設備が置かれる等、各地域の現状に即した対策を施した。上記の数字を見ても、プロジェクトが行われる前の教育環境の不備が相当深刻であったことが分かる。

 同時期に義務教育普及の為に行われたプロジェクトは他にも、小中学校の危険校舎1300万平方メートルの改造に目的を特化した「全国中小学校危房改造工程」(第一期2001-2002年、第二期2003-2005年)、通学が困難な過疎の西部辺境地区に寄宿制学校を建設する「西部地区農村寄宿制学校建設工程」(2004-、5年間)、衛生視聴覚設備教材等の整備「農村中小学現代遠程教育工程」(2003年-)等がある。  国家レベルのプロジェクト以外にも地方レベルで取り組んでいるプロジェクトも多い。山地では義務教育が未だ普及していないことをはじめ問題は多いが、中国はいま国家、地方をあげて、九年制義務教育普及に本腰をいれて取り組んでいる。

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