中国は大学受験の季節2011年05月30日

 中国ではそろそろ大学受験の季節だ。日本のセンター試験にあたる試験を通称「高考」という。試験は各省市で行われる。北京の日程は今年も6月7-8日、試験科目は、7日は語文(国語)と数学、8日は文科総合か理科総合、及び外国語である。

一見、科目が少ないように見えるが、文科総合は歴史、地理、政治であり、理科総合は物理、化学、生物、それぞれ3科目をワンセットにしているので、実際の試験科目は6科目ということになる。外国語の選択肢も広い。英語、日本語、ロシア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の6カ国語から選ぶことができる。


 日本にはない制度もある。条件を満たせば点数を加える「加点」、あるいは合格基準点数を下げる「降点」制度である。国際、全国、省レベルのスポーツ大会や科学大会等で規定内の好成績を獲った者の他、華僑や台湾人、少数民族、烈士の子女にも加点(降点)される。日本の推薦に似ている部分もありつつ、中国ならではの事情をも反映している。


 昔、科挙が行われていた時代、科挙にまつわる様々なエピソードが生まれ、巷を賑わせたそうだ。徳行を積んだ人物を幽霊が助けてくれたり、或いは女性を捨てた男性には女の生き霊が試験を邪魔したり、そんな物語が沢山ある。それだけ試験が過酷で競争が激しかったということだろう。

 現在の中国も受験競争は激しい。一類大学と呼ばれる一流大学合格を目指して幼児園(幼稚園)時代から早期教育、過酷な勉強にしのぎを削る。だから、今でも大学受験が様々なドラマを生むのかもしれない。昨年は、試験場に娘を送っていった父親が帰路、工事現場のそばを通りかかった際に建材の落下事故で亡くなったという悲しい話が報道された。試験中、家族友人は父親の死を隠し通したという。今年はこのような悲しい話ではない、心温まるドラマが生まれますように。

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