中国人ならだれもが知っている英雄ベチューン(1)2008年02月02日

 中国の第一級の英雄に外国人がいるのは意外なことかもしれない。カナダ人の外科医師「白求恩」、ヘンリー・ノーマン・ベチューン(Henry Norman Bethune)は、中国人なら誰でも知っている大英雄である。

 毛沢東は1939年12月21日、ベチューンが活動先で逝去した事実を知って、有名な論文「ベチューンを記念する」を書き、ベチューンの不眠不休の医療活動と貧しい人々への無私の奉仕、その国際主義と共産主義の精神とを讃えた。この論文「ベチューンを記念する」は、1949年中華人民共和国建国後、中学校の国語教科書に収録され、特に文化大革命中の「三大必読文献(老三篇)」となって誰もが暗唱させられ、更に小学校の国語教科書にはベチューンの逸話が収録されたことから、ベチューンは中国で最も有名な人物の一人となった。

 小学教科書の逸話が描いているのは、抗日戦争の最前線「斉会戦」前線そばの移動野戦病院での医療活動の様子である。ベチューンが、爆弾が付近に落とされている中で、頑として避難を拒み、次々に運ばれてくる重傷の兵士達の手術を休むことなく続け、ついに三日三晩、69時間手術台から離れなかったというエピソードである。  このエピソードを含め、中国で知られるベチューンの生涯は周而復が小説「ドクター・ベチューン(白求恩大夫)」で書いたような様々な伝説で彩られている。ただし、課程標凖の教科書になってからはベチューンの名を見かけなくなった。

参考:R・スチュワートの『医師ベチューンの一生(BETHUNE)』(1970年代の調査に基づく内容であることを念頭に読むことをおすすめします)

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