日中戦争時代の教科書2008年02月13日

 最近抗戦期の教科書を見ている。後の中国における抗日教育の原点は恐らくこの時期にあることを強く感じる。

 例えば、1940年(民国29年)正中書局から発行された高級小学向けの『社会』の中味は正に抗戦一色である。「公民」「歴史」「地理」の部があり、例えば「公民之部」は「一、抗戦の意義」「二、抗戦建国綱領」「三、我々の領袖」「四、我々の軍隊」「五、全国総動員」「六、兵役法」…この時期、東北地方を解放するのが大きな課題であったから、各所で東北地方についての解説や日本に占領された経緯が紹介されている。

更に1942年に正中書局から発行された『国語常識混合編制 抗建読本』は、最初の頁は「鳴 鳴 鳴 警報 警報」(筆者注:「鳴」は警報音)一年生はじめての新出漢字は「鳴」「警」「報」の三文字である。続くページも「警報、警報、敵機が飛んできた」「火 火 火 敵機が焼夷弾を落として、多くの家に火が着いた」…他にも中国軍と日本軍の飛行機の形や記号の違いを教えるなど、見ていると心が痛くなる教材ばかりだ。

 警報が鳴り響き、飛行機が飛んできて焼夷弾を落とす危険が日常であり…日本軍と中国軍の飛行機の記号の違いを判断できなければ生命の危険がある、という切実さがある。

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