テレビドラマ「アンネの日記」と小学館版学習まんが人物館『アンネ・フランク』2009年08月09日

『アンネ・フランク―戦争の中で生きる希望を書き続けた少女
 今年はアンネ・フランク生誕80周年だそうだ。「フルハウス」を見ようとしてテレビをつけたら、テレビドラマ「アンネの日記」をやっていた。タイトルを娘に読んで聞かせたところ、娘に「せいたん80しゅうねんって?」と聞かれた。「アンネが生きていたら80歳のおばあちゃんになっていたということよ」と答えて、自分の答えに驚いた。そうだ、アンネが生きていたら、今頃80歳なのだ。娘もドラマを見たいと言ったので、二人で第2回から第5回まで見た。

 ドラマでは、本物のアンネの写真によく似た女優さんがアンネの役を上手に演じている。ドラマに登場するアンネは思春期を迎えた、13歳から15歳の多感な少女である。小学校二年生の娘にアンネが分かるだろうか…とは思ったが、熱心に見ていた。分からないところもあるに違いないが、日記そのものは、隠れ家での日常とアンネの思いを描いているもので、特別に恐ろしい映像があるわけではなかった。ドラマの最後に隠れ家を密告されゲシュタポに踏み込まれて、銃を突きつけられる場面以外は。

 このドラマを見ることになったのは、娘が偶然、小学館版学習まんが人物館『アンネ・フランク』を読んだばかりだったからである。私も読んでみて、この本はなかなかよく考えて執筆されていると感じた。アンネがドイツで過ごした幼年時代、オランダでの幼稚園時代、小学校時代、そして隠れ家での生活、逮捕後のホロコーストでの悲劇…戦争、ナチスのユダヤ人迫害という難しいテーマを、明るく可愛らしい少女アンネの成長の経過と、戦争とユダヤ人迫害という時代の影を一緒に描き、比較的上手に、迫害の理不尽さと残酷さ、迫害される側の心理が、子供にも分かるように工夫されている。

 正直なところ、私自身が『アンネの日記』を初めて読んだのが、小学校高学年の頃だったこともあって、小学校二年生の娘に『アンネの日記』は早すぎると思っていた。でも、さきにこの小学館版学習まんが人物館『アンネ・フランク』を読んだ上でなら、ある程度は『アンネの日記』に共感できると思う。思春期の少女についての理解は、もっと先のことだと思うが。

 ところで…逮捕後、アンネは半年後に命を散らした。姉と共に、最後に行き着いたドイツのベルゲン・ベルゼン強制収容所は、ガス室はなかったが、収容者に食事を与えず、餓死させる方法を採っていた。不潔で病気が蔓延しており、アンネと姉のマルゴーはチフスで死んだと言われている。アンネの死亡日とされているのは、1945年3月31日である。これには異論があり、2月末、3月初めとの説もあるが…イギリス軍によってこの収容所が解放されたのは同年4月15日だったそうだ。人間はなぜ人間にこうも残酷になれるのだろう。同じ悲劇が繰り返されないために、私にも何かできることはないだろうか。

見たテレビドラマ:『アンネの日記』全5話(再放送は9月19日14:30~17:00 五話連続放送 http://www9.nhk.or.jp/kaigai/anne/index.html )
読んだ本:小学館版学習まんが人物館『アンネ・フランク―戦争の中で生きる希望を書き続けた少女―』(小学館、1996)

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