絵本『あなたが世界を変える日-12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ』に思う2008年08月11日

あなたが世界を変える日
 一人の子どもの力もまんざらではない。1992年、ブラジルのリオで開催された環境サミットでは、12歳の少女、セヴァン・カリス・スズキのたった六分間のスピーチに多くの人が心動かされた。私もそのうちのひとりだ。あのときのスピーチが子供向けの絵本『あなたが世界を変える日――12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ』になっているのを今日偶然、通院している歯科で見つけた。

 この絵本の中に、あの印象的な言葉を見つけた。「今日の私の話には、ウラもオモテもありません。なぜって、私が環境運動をしているのは、私自身の未来のため。自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとはわけがちがうんですから。私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子どもたちのためです。世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。…」 

 可愛い絵と、日本語に翻訳されても色あせない言葉、そして英語の原文が併記される。元々予定されていたわけではないこのスピーチ、会場へ移動する車の中で仲間と一緒に書き上げたとは信じられないほど、深い内容が簡単な言葉で綴られている。セヴァン・カリス・スズキたちがカナダにおけるNGOの活動のなかで培ってきた問題意識、スピーチ力、そして鋭い感受性があってこそ、短い時間でこれだけのスピーチをまとめあげ、多くの人の心を打つことができたのだと思う。

 ところで、セヴァン・カリス・スズキの父親はデヴィット・スズキ、日系三世で、著名な生物学者であり、環境運動家で、2004年には国民が投票する最も偉大なカナダ人にも選ばれた人物である。彼女が環境問題に目覚め、取り組むにあたっては、両親の影響はもちろん、理解と協力が大きかったに違いない。親として娘に、どのように環境問題を教え、共に考えていったのだろう。この機会にデヴィット・スズキの本も読んでみようと思っている。

参考:
絵本『あなたが世界を変える日-12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ』(翻訳:ナマケモノ倶楽部、学陽書房、2003)
You Tube「セヴァン・カリス・スズキ - 環境サミット1992」 http://jp.youtube.com/watch?v=XjlUyVnDGIA&feature=related 日本語字幕付きで伝説のスピーチを聴くことができます(^^)
ナマケモノ倶楽部の会員紹介-セヴァン・カリス・スズキ  http://www.sloth.gr.jp/relation/kaiin/severn_top.html 伝説のスピーチ他寄稿や講演録も見ることが出来ます。