石黒教授講演会「アンドロイドサイエンス-人間を知るためのロボット研究」を聴く――大阪大学 まちかね祭 20082008年11月04日

 大阪大学のまちかね祭、今回の特別企画にロボット工学の研究者・石黒教授の講演会があった。案内に載っている石黒教授とそっくりのジェミノイドの写真に惹かれ、講演会に親子で出かけた。ジェミノイド(Geminoid)とは、ふたごを意味する「gemin」と、「~のような」を意味する「-oid」から、石黒教授がつくった言葉であるらしい。会場では本物のジェミノイドを見ることは出来なかったけれど、石黒教授のお話をたっぷり2時間、ロボットの実験映像等を見ながら聴くことができた。

 石黒教授が作ったロボット達は…全身触覚付きRobovie、三菱重工のワカマル、石黒教授のお嬢さんをコピーしたRepliee R1、愛・地球博に登場した藤井彩子アナウンサーのコピー・Repliee Q1 expo、そして石黒教授そっくりのジェミノイド、ノイズを送ることで赤ちゃんと同じ動きをするロボット、腕の動きを再現したという腕だけのロボット等、どれもインパクトの強いロボットばかりである。「世界の100人の生きている天才」という企画で26位に選ばれたという石黒教授、発想力は確かに独特で、既成概念にとらわれないものを感じた。

 例えば、ロボットに柔らかい皮膚、という発想。石黒教授によれば、「ドラえもんは絶対柔らかいはずです。そうでなければ、のび太は脳挫傷を起こしている」という。言われてみれば、確かに、人間の身近にあって、度々接触するロボットは柔らかい方が安全だろうし、親しみもわくかもしれない。ロボット研究は、工学からのアプローチだけに、メカニズムに偏りがちで、外観は専らデザイナーに頼っていることが多いという。それを、石黒教授は外観、触覚が大切であることに気づき、それをロボットの皮膚の研究、更にロボット製作へと発展させたらしい。

 難しい話が多かったので理解不足かも知れないが、話を聞いた感じでは、石黒教授のロボット研究は、ロボットを現在ある技術や知識を使って極限まで人間に近づける研究と、ロボット利用の可能性を引き出す研究、の2つに大きく分けることができるようである。前者は他の工学研究者や医学研究者との共同研究、後者は平田オリザ教授とのロボット演劇の企画や街頭における社会実験などによって、多くの研究者と共に幾つもの大きなプロジェクトを進めているらしい。今後のご研究の発展がとっても楽しみである。

 今回の講演会は、娘にとっては(もちろん私にとっても)、難しすぎる話だったのだけれど、二時間なんとかがんばってくれたのでありがたかった。終わった後に聞いたら「面白かった」そうだ。彼女なりに得るもの、感じるものがあったのだろう。

 ところで、いまは世界的に有名な石黒教授だが、実験に度々登場するお嬢さん、奥様…家族の研究への協力が、その旺盛な研究活動を支えていることも、今回感じたことの一つである。私もそうなれればいいな~、と思ったりもした。

参考:大阪大学まちかね祭 2008 HP(企画) http://www.machikanesai.com/event.html
知能ロボット学研究室(大阪大学・石黒研究室) http://www.ed.ams.eng.osaka-u.ac.jp/

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