中国で一番歴史がある二つの大学を創設した盛宣懐2008年12月18日

 中国で一番旧い公立の「新式」学校は1895年設立の天津の天津北洋西学学堂(翌年、北洋大学堂に改称。天津大学の前身)、その次が1896年設立の上海の南洋公学(上海交通大学の前身)である。

 この二つの学校を創設した人物、実は同一人物である。その人物を盛宣懐(1844-1916)という。盛宣懐は官僚の家の出身であるが、科挙に失敗したため、実業の道で政治に関わる人生を歩んだ。彼が教育事業に力をいれた理由は、内政、外交、経済等の各方面の人材を育成するためである。そのために光緒帝に西洋式の学校設立を建議して創立されたのが、上の二つの大学であった。そしてその期待通り、多くの優秀な人材を輩出することになり、多くの留学生を欧米や日本に送り出した。清末の教育近代化における盛宣懐の業績は大きいことは間違いない。

 盛宣懐は、清末、中国の洋務事業とも呼ばれる主な近代的事業(石炭、鉄鋼、郵便、鉄道、金融等)と初期企業化及び工業化を一手に掌握し、一代で巨万の富を築いた企業家、政商として知られる。中国の赤十字社(中国語:紅十字社)の創設者でもある。ただ、その蓄財の凄まじさと政界における権謀術数ぶりが嫌われ、更に辛亥革命のきっかけとなった鉄道国有化を強行した人物であることもあって、中国では長い間最悪の評価を受けてきた。しかし、最近は毛沢東言うところの「有功有過」(功もあり過ちもある)的見方に変化しつつあるようだ。上海図書館では盛宣懐ファイルを一般に公開している。

参考:上海交通大学校史網 http://jdxiaoshi.sjtu.edu.cn/lswh.jsp

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